共通テストについて、こんな話を聞いたことはないでしょうか。
『問題自体はものすごく難しいわけではない。でも、とにかく時間が足りない』
2026年9月、河合塾グループが2026年1月の大学入学共通テストを受験した大学1年生1,000人を調査したところ、75.8%が『共通テストはとにかく時間が足りない試験だった』と回答しました。
さらに、91.6%が『基礎力よりも情報処理能力が問われる試験だと感じた』と答えています。
保護者として気になるのは、ここです。
『もっと難しい問題を解けるようにする』だけでは、共通テスト対策として十分ではない可能性がある。
では、共通テストでいう『情報処理能力』とは何なのか。高校3年生は今から何をすればいいのか。高1・高2は何を意識しておけばいいのか。親ができることも含めて整理します。
4人に3人が感じた『時間不足』
河合塾グループの調査対象は、2026年1月の共通テストを受験し、その後大学へ進学した大学1年生1,000人です。
時間不足を感じた理由で最も多かったのは、『問題文や資料文の分量が長かった』62.3%。次いで、『図表などから読み取る情報量が多かった』49.3%でした。
また、目標得点に届かなかった人は全体で55.4%。東京大学・京都大学合格者でも48.8%が目標得点に届かなかったと回答しています。
つまり、
『問題が分からない』だけではなく、『分かる問題を時間内に処理しきれない』ことでも点を落とす。
ここが、共通テストの難しさの一つです。
※75.8%という数字は、共通テスト受験者全員を対象にした統計ではなく、大学へ進学した1,000人へのアンケート結果です。数字の受け止め方には注意が必要ですが、難関大合格者を含めて時間不足を感じた割合が高い点は参考になります。
『知識はいらない試験』になったわけではない
ここは誤解したくないところです。
『情報処理力が重要なら、暗記や基礎勉強はそれほど必要ないのでは?』という話ではありません。
共通テストでは、身につけた知識・技能を使いながら、文章や資料、図表などから必要な情報を読み取り、考えることが求められます。
つまり必要なのは、
知識を覚える力 + その知識をその場で使う力
です。
公式、単語、用語を覚えただけで終わらず、初めて見る文章やグラフを読み、『この知識をここで使うのか』と判断する。だから処理する情報量が増え、時間が厳しくなりやすいのだと考えられます。
共通テストで必要な『情報処理力』とは?
『情報処理力』と言われると少し大げさに聞こえますが、受験勉強に置き換えると特別な能力ではありません。
- 問題を見て『何を聞かれているか』を早くつかむ
- 長い文章の中から必要な部分を見つける
- 表やグラフと文章を行き来する
- 持っている知識と資料を結びつける
- 時間のかかる問題はいったん飛ばす
こうした作業を、限られた時間の中で正確に行う力です。
だから共通テスト対策で大切なのは、単に『もっと速く解こう』とすることではありません。
自分がどこで時間を使っているのかを知ること。
英文を読むのが遅いのか。数学で一問に粘りすぎるのか。資料問題を最初から全部読んでいるのか。知識が曖昧だから、その場で考える時間が長くなっているのか。
原因によって対策はまったく違います。
高3なら『点数』だけでなく『時間切れの場所』を見る
今の受験生に一番おすすめしたいのは、過去問や模試を解いた後、点数だけを見ないことです。
たとえば数学で65点だったとしても、
『普通に全部解いて65点』と、
『最後の大問にほぼ手をつけられず65点』
では意味が違います。
後者なら、知識を増やすことと並行して、時間配分そのものを改善する余地があります。
- 本番と同じ制限時間で解く
- 時間が来たら必ず止める
- どの問題まで終わったか確認する
- 一番時間を使った大問を確認する
- 時間があれば解けた問題が何点分あったかを見る
これだけでも、自分の『時間不足』の正体がかなり見えてきます。
河合塾グループの調査では、高2終了までに共通テスト対策を始めていた人は全体で63.5%、東大・京大合格者では76.8%でした。これだけで早期対策の効果を断定することはできませんが、共通テスト形式に早めに慣れておくことは一つの参考になります。
高1・高2なら、まだ共テ対策問題集を大量にやらなくてもいい
では、高1や高2から共通テストの過去問を延々と解けばいいのでしょうか。
そこまで極端に考える必要はないと思います。
それより大切なのは、普段の勉強の中で、
- 初めて読む文章から必要な情報を拾う
- 表やグラフから情報を読み取る
- 『なぜそうなるのか』を考える
- 時間を決めて問題を解く
- 基礎知識を曖昧なまま残さない
こうした経験を積んでおくことです。
特に、『分からないからすぐ答えを見る』だけでなく、手元にある情報から何が分かるのかを一度考える習慣は、共通テストにもつながります。
保護者が見るべきなのは『何時間勉強したか』だけではない
受験生を見ていると、どうしても、
『今日は何時間勉強したの?』
と聞きたくなります。
でも共通テストを考えるなら、もう一つ聞いてみてもいいかもしれません。
『時間を測ってやったら、どこまで解けた?』
これなら単なる勉強時間のチェックではなく、自分の課題を本人に考えてもらえます。
親が解き方を教える必要はありません。
模試の結果を一緒に見ながら、
『点を落としたのは分からなかったからなのか、時間がなかったからなのか』
を分けて考えるだけでも十分です。
『勉強が足りない』で全部まとめてしまわないこと。ここは保護者側も意識しておきたいところです。
受験生本人へ|今日一度だけやってみてほしいこと
何か一科目、共通テスト形式の問題を本番と同じ制限時間で解いてみてください。
そして時間が来たら必ず止める。
採点する前に、次の3つを確認してみてください。
- 最後まで到達したか
- 一番時間を使った問題はどこか
- あと10分あれば何点増えそうだったか
もし知識不足ではなく時間切れで大量に点を失っているなら、それはこれから改善できる課題です。
逆に、時間は余るのに点が取れないなら、今は基礎や理解を固める方が先かもしれません。
『共テだから特別な勉強をする』のではなく、自分がどこで点を失っているのかを知ることから始める。
これが一番効率的です。
共通テストは『難問を解ける子』だけが有利な試験ではない
今回の調査で印象的なのは、東大・京大合格者でも76.8%が『時間が足りない』と感じていたことです。
学力が高ければ、時間の問題から解放されるわけではありません。
2027年度(令和9年度)の大学入学共通テスト本試験は、2027年1月16日(土)・17日(日)に実施予定です。
高校3年生なら、ここから必要なのは『難しい参考書をもう一冊増やすこと』とは限りません。
今持っている知識を、制限時間の中できちんと得点に変えられるか。
一度そこを確認してみる価値があります。
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まとめ|『時間が足りない』なら、勉強量とは別に原因を探す
共通テスト経験者1,000人を対象にした調査では、75.8%が時間不足を感じていました。
だからこそ、受験生は『何点だったか』だけでなく、
- 最後まで解けたか
- どこで時間を使ったか
- 時間不足で何点分を失ったか
まで確認してみてください。
そして保護者は、『もっと勉強しなさい』だけではなく、知識不足なのか、時間配分なのか、処理速度なのかを一緒に切り分けてみる。
共通テスト本番まで、改善できることはまだあります。