「総合型選抜なら、一般選抜より少し受かりやすいのでは?」
そんなイメージを持っている保護者もいるかもしれません。
ところが2026年9月、2027年度(令和9年度)の国立大学・総合型選抜では、第1次選抜の結果が少しずつ発表され始めています。山形大学は9月18日と28日、岩手大学は9月17日、群馬大学は9月25日に総合型選抜の第1次結果を公表しました。
数字を見ていて改めて感じるのが、「総合型選抜=一般選抜より簡単な入試」ではないということです。
この記事でわかること
- 2027年度の国立大・総合型選抜でどのくらい倍率がついているか
- 「総合型なら一般よりラク」とは言えない理由
- 大学・学科によって難しさが大きく違うこと
- 総合型を受けるときに一般選抜対策を止めない方がいい理由
※この記事は2026年9月30日時点で公表されている入試情報をもとにしています。最終合格発表前のため、掲載している倍率は主に志願状況です。
2027年度、国立大の総合型選抜の結果が出始めた
9月末時点で、すでに複数の国立大学が総合型選抜の第1次結果を発表しています。
- 岩手大学:9月17日、理工学部の総合型選抜I 第1次選考結果を公表
- 山形大学:9月18日、人文社会科学部・理学部・工学部などの第1次結果を公表
- 群馬大学:9月25日、総合型選抜の第1次選抜合格者を公表
- 山形大学:9月28日、農学部の第1次結果を公表
ただし、この段階で発表されているのは多くの場合「最終合格」ではありません。第1次を通過したあと、面接、口頭試問、集団討論、プレゼンテーションなどの第2次選抜が続く大学もあります。
たとえば山形大学の2027年度総合型選抜では、人文社会科学部の第1次は書類選抜、第2次は面接や集団討論など。理学部でも区分によって面接、プレゼンテーション、小論文などが課されています。
制度そのものがまだよく分からない場合は、先にこちらをどうぞ。
→【2027年度】総合型選抜とは?推薦との違い・専願か併願かを親向けに解説
山形大学では志願倍率4倍超の学科も
2027年度の山形大学総合型選抜の志願状況を見ると、人気の学科・コースでは4倍を超えています。
| 学部・コース | 募集人員 | 志願者数 | 志願倍率 |
|---|---|---|---|
| 人文社会科学部 人間文化 | 10人 | 30人 | 3.0倍 |
| 人文社会科学部 グローバル・スタディーズ | 5人 | 23人 | 4.6倍 |
| 工学部 情報・知能 | 5人 | 23人 | 4.6倍 |
| 工学部 建築・デザイン | 3人 | 13人 | 約4.3倍 |
| 工学部 バイオ化学工学 | 5人 | 19人 | 3.8倍 |
| 理学部 数学・データサイエンス | 4人 | 2人 | 0.5倍 |
※山形大学が2026年9月15日に公表した2027年度総合型選抜の志願状況をもとに作成。
募集5人に23人、募集3人に13人。
これを見ると、少なくとも人気学科では「総合型だから受ければかなりの確率で受かる」という状況ではありません。
一方で、理学部の数学・データサイエンスは募集4人に志願2人でした。
つまり、総合型選抜は「全体的に簡単」「全体的に難しい」と言うより、大学・学部・学科による差がかなり大きい入試です。
なぜ国立大の総合型選抜は「思ったより難しい」と感じやすいのか
募集人数が少ない
まず大きいのが募集人数です。
総合型選抜では「3人」「5人」「10人」といった少人数募集も珍しくありません。そのため志願者が20人前後でも、一気に3倍、4倍という倍率になります。
学力試験が少ない=簡単、ではない
総合型選抜では、一般選抜のような教科試験だけで決まらないケースが多くあります。
その代わりに、志望理由書、自己PR、活動実績、小論文、面接、口頭試問、プレゼンテーション、集団討論などを組み合わせて評価します。
山形大学人文社会科学部の2027年度選抜でも、人間文化コースは書類選抜のあとに面接と集団討論、グローバル・スタディーズコースは英検CSEスコアを含む書類審査と面接が行われます。
「テストが少ない」ことと「準備が少なくて済む」ことは別です。
「その大学でなぜ学びたいのか」をかなり見られる
総合型選抜では、単に成績が良いだけではなく、その大学・学部との相性や志望理由をかなり具体的に問われます。
一般選抜とは違う強みを評価してもらえるのは大きなメリットですが、裏を返せば「一般が不安だから、とりあえず総合型」という受け方では通りにくい入試でもあります。
「一般が厳しそうだから総合型」は少し危ない
総合型選抜を使うこと自体は、選択肢を増やす意味でとても有効です。
ただし、
- 共通テストが不安だから
- 一般選抜より早く決まりそうだから
- 推薦っぽいから受かりやすそうだから
という理由だけで、総合型対策に全振りしてしまうのは注意が必要です。
志望理由書を書き直し、面接練習をし、小論文やプレゼンの準備をする。その一方で、共通テストや一般選抜の勉強も進めなければなりません。
山形大学の2027年度募集要項にも、総合型選抜で不合格となった場合は、国公立大学の一般選抜やほかの総合型選抜、学校推薦型選抜に出願できる旨が記載されています。
だからこそ、総合型を受ける場合でも「落ちた後のルート」まで最初から作っておくのが大事です。
2027年度は国公立大学でも一般選抜の募集人数に変更が出ている大学があります。総合型だけでなく一般選抜側の動きも一緒に確認しておくと安心です。
→【2027年度大学入試】国公立でも一般選抜が縮小?募集人数の変更を確認
総合型選抜と学校推薦型選抜は別物
会話では「総合型推薦」とまとめて呼ばれることもありますが、制度上は総合型選抜と学校推薦型選抜は別の入試です。
総合型選抜は、原則として志願者本人の意思で出願し、大学側がアドミッション・ポリシーに照らして多面的に評価する入試です。
一方、学校推薦型選抜は高校からの推薦が必要です。
さらに国公立大学では、共通テストを課す方式・課さない方式など大学によって仕組みがかなり違います。
「総合型だからこう」と思い込まず、志望校の募集要項を個別に確認することが重要です。
総合型に落ちても、受験はそこで終わりではない
総合型選抜は準備期間が長いぶん、不合格だったときのショックも大きいと思います。
でも9月・10月なら、その後に学校推薦型選抜、共通テスト、私立大学の共通テスト利用、国公立前期・後期と受験は続きます。
むしろ問題になりやすいのは、ここから日程が一気に複雑になることです。
出願開始、出願締切、試験日、合格発表、入学金の締切。大学ごとに日付が違うので、総合型を受ける段階から一般選抜まで含めて一覧にしておくと動きやすくなります。
→【2027年度】大学受験のスケジュール管理どうする?出願・試験・合格発表・入学金締切を整理する方法
まとめ|国立大の総合型選抜は「早く決まる可能性がある入試」であって「簡単な入試」ではない
2027年度の国立大学総合型選抜では、第1次結果が出始めています。
山形大学では志願倍率4倍を超える学科がある一方、1倍を下回る区分もありました。
ここから分かるのは、
- 総合型=一般より簡単、ではない
- 大学・学部・学科によって倍率差が大きい
- 総合型対策と並行して一般選抜対策も続けた方がいい
- 不合格だった場合の次の出願先・日程まで考えておく
ということです。
高校1・2年生の段階なら、「一般か総合型か」の二択にするより、まず一般選抜に必要な学力を積み上げながら、自分に総合型で評価してもらえる材料があるかを確認していくのが現実的です。
今後、各大学の最終合格結果が出たらこの記事にも追記していきます。