2027年度の大学入試で、一部の国公立大学に一般選抜の募集人員を減らし、総合型選抜や学校推薦型選抜へ枠を移す動きが見られます。
「国公立なら、推薦を考えなくても一般選抜で受ければいい」と考えている家庭にも関係する変更です。
ただし、ここは誤解しないようにしたいところ。国公立大学全体で一般選抜が一斉に縮小している、という話ではありません。河合塾の2027年度入試分析でも、国公立大では一般選抜が引き続き中心である一方、一部大学では一般選抜の募集人員を縮小し、総合型・学校推薦型選抜へシフトする動きがあると整理されています。
今回は、2027年度入試で特に目立つ変更を、大学公式情報と河合塾Kei-Netの入試変更情報を照合してまとめます。
2027年度に一般選抜の募集人員が変わる主な例
| 大学・学部 | 2026年度 | 2027年度 | 主な変更 |
|---|---|---|---|
| 千葉大 教育学部 | 前期282人 総合型98人 |
前期256人 総合型124人 |
前期26人減、総合型26人増 |
| 広島大 経済学部(昼間) | 前期110人 学校推薦型15人 |
前期95人 学校推薦型30人 |
前期15人減、推薦15人増 |
| 九州大 工学部 | 前期629人 後期102人 総合型47人 |
前期667人 後期20人 総合型75人 学校推薦型16人 |
後期82人減。前期・総合型・推薦へ再配分 |
| 東北大 | ― | ゲートウェイカレッジ178人を新設 | 総合型選抜のみ。河合塾集計では既存学部の前期日程が計128人減 |
※募集人員は2026年9月23日時点で公表されている2027年度入試情報を確認。今後変更される可能性もあるため、出願時は必ず各大学の最新募集要項をご確認ください。
千葉大学教育学部|前期282人→256人、総合型98人→124人
千葉大学教育学部は、入学定員380人自体は変わりませんが、募集方法の内訳が変わります。
- 一般選抜・前期日程:282人 → 256人(26人減)
- 総合型選抜:98人 → 124人(26人増)
2027年度から総合型選抜に「方式III(地域教員希望枠)」63人が新設されます。千葉県の学校教員を目指す学生を対象とした枠で、大学入学共通テストも課されます。
つまり、教育学部全体の定員を減らしたのではなく、一般選抜から総合型選抜へ募集枠を移した形です。
広島大学経済学部(昼間)|前期110人→95人、推薦15人→30人
広島大学経済学部の昼間コースでは、2027年度に次の変更があります。
- 一般選抜・前期日程:110人 → 95人(15人減)
- 学校推薦型選抜II型:15人 → 30人(15人増)
2027年度の広島大学「入学者選抜に関する要項」でも、経済学科昼間コースは入学定員150人、前期95人、後期25人、学校推薦型選抜II型30人と公表されています。
こちらも、定員そのものを大きく減らすというより、一般選抜の一部を学校推薦型選抜へ移す変更と見るのが分かりやすいでしょう。
九州大学工学部|後期102人→20人。ただし前期は増える
数字だけを見ると特にインパクトが大きいのが九州大学工学部です。
2026年度は、
- 前期629人
- 後期102人
- 総合型47人
でしたが、2027年度は、
- 前期667人
- 後期20人
- 総合型75人
- 学校推薦型16人
となります。
ここは「九大工の一般選抜が102人から20人になる」わけではありません。減るのは後期日程です。前期は629人から667人へ38人増えています。
後期で減る82人分は、前期の増員38人、総合型の増員28人、学校推薦型の新設16人に振り分けられる形です。
そのため2027年度は、九大工を考える受験生にとって「前期がだめでも後期で」という選択肢がかなり狭くなる点に注意が必要です。
東北大学|178人のゲートウェイカレッジを総合型選抜で新設
東北大学では2027年度から、学部を決めずに入学し、その後専門分野を選択する「ゲートウェイカレッジ」を新設します。
募集人員は、
- 4月入学:88人
- 10月入学:90人
- 合計:178人
で、東北大学の入学者選抜要項では総合型選抜のみを実施するとしています。
大学全体の入学定員総数は増えないため、ゲートウェイカレッジの新設に伴って既存学部の募集人員も調整されています。河合塾の集計では、既存学部の一般選抜・前期日程は合計128人減とされています。
例えば工学部は、前期日程が2026年度の595人から2027年度は521人へ、74人減ります。
「国公立は一般一本でいい」と早く決めすぎない方がいい理由
ここまで見ると、「これから国公立は推薦ばかりになるの?」と感じるかもしれません。
しかし、現時点ではそこまで単純ではありません。国公立大学では今も一般選抜が中心ですし、大学や学部によっては一般選抜を増やすケースもあります。九州大学工学部も、後期は大幅に減りますが前期は増えています。
大切なのは、「国公立=一般選抜の募集人数は毎年ほぼ同じ」と思い込まないことです。
高1・高2の段階なら、志望校について次の3つを一度確認しておくと安心です。
- 一般選抜の募集人数が前年から変わっていないか
- 総合型・学校推薦型選抜が新設・拡大されていないか
- 後期日程そのものが縮小・廃止されていないか
特に「前期が厳しかったら後期で」という受験プランを考えている場合は、後期日程の募集人数を早めに確認しておきたいところです。
総合型選抜を利用しない家庭にも関係する
総合型選抜や学校推薦型選抜に出願する予定がなくても、募集人員の配分が変われば一般選抜の定員にも影響します。
「うちは一般一本だから推薦の情報は見なくていい」ではなく、志望大学がどの選抜方式へ定員を配分しているのかまで見ておくと、受験戦略を立てやすくなります。
総合型選抜そのものの仕組みが分かりにくい方は、こちらの記事でも整理しています。
総合型選抜とは?一般選抜・学校推薦型選抜との違いを保護者向けに解説
まとめ
2027年度入試では、一部の国公立大学で一般選抜の募集人員を減らし、総合型・学校推薦型選抜へ枠を移す動きが確認できます。
- 千葉大教育:前期282人→256人、総合型98人→124人
- 広島大経済(昼):前期110人→95人、学校推薦型15人→30人
- 九大工:後期102人→20人。一方、前期は629人→667人
- 東北大:ゲートウェイカレッジ178人を総合型選抜で新設。河合塾集計では既存学部の前期が計128人減
「推薦を使うかどうか」だけではなく、志望大学の募集枠そのものがどう変わっているかを確認することが、今後さらに重要になりそうです。
主な出典