栃木県の進学校に入れば、MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)には普通に合格できるのでしょうか。
高校受験を考える保護者にとって、これは気になるところです。高校情報サイトの偏差値だけを見ると、石橋高校や鹿沼高校、宇都宮北高校、真岡高校、宇都宮中央高校はいずれも大学進学を目指す生徒が集まる学校です。では、実際の大学合格実績から見ると、MARCHはどのくらい現実的なのでしょうか。
この記事では、各校が公表している大学合格実績をもとに、MARCH、国公立大学、日東駒専の数字を比較します。先に結論を言うと、栃木県の進学校からMARCHは十分に狙えます。ただし、「高校に入れば普通に受かる」と考えるのは危険です。高校内でどの位置にいるか、そして過去数年の進路実績をどう読むかが重要になります。
先に結論:MARCHは狙えるが、高校内の位置が重要
栃木県の公立進学校では、MARCHの合格者が毎年出ています。一方で、合格者数は卒業生全体の一部です。しかも学校が公表する大学合格者数は、同じ生徒の複数大学・複数学部への合格を含む「延べ合格数」であることが多く、数字をそのまま実人数と見ることはできません。
つまり、偏差値60前後の高校に合格した時点でMARCHが近づくのは確かですが、入学後に上位層を目指して学習を続ける必要があります。
栃木県の進学校5校を合格実績で比較
下表は、学校公式資料から確認できる近年の実績を整理したものです。MARCHと日東駒専は、学校の表で現役欄と過年度卒が分かれている場合、原則として現役欄の合計を記載しています。国公立は学校によって現役・既卒の合計欄を公表しているため、括弧内の既卒者数も含めて注記しました。
| 高校 | 偏差値目安 | 卒業生規模 | MARCH | 国公立 | 日東駒専 |
|---|---|---|---|---|---|
| 石橋高校 (2025年度) |
66前後 | 約230人 | 83件 | 125件 (既卒8を含む) |
94件 |
| 鹿沼高校 (2025年度) |
60前後 | 約240人 | 26件 | 94件 | 64件 |
| 宇都宮北高校 (2025年度) |
60台前半 | 約235人 | 16件 | 118件 (学校公表値) |
100件 |
| 真岡高校 (2025年度) |
60前後 | 約200人 | 32件 | 104件 (学校公表値) |
70件 |
| 宇都宮中央高校 (2025年度) |
57〜61 | 271人 | 32件 | 151件 (既卒3を含む) |
73件 |
この表から分かるのは、同じ県内の公立進学校でも、MARCHの合格数には幅があるということです。石橋高校はMARCH83件と目立ちますが、偏差値目安も今回の5校では高めです。鹿沼高校、真岡高校、宇都宮中央高校は20〜30件台、宇都宮北高校は16件でした。
もちろん、これは学校の優劣を単純に決める数字ではありません。国公立を第一志望にする生徒が多い学校と、私立大学を複数受験する生徒が多い学校では、同じ学力層でも合格数の出方が変わります。
延べ合格数と実人数は違う
例えば、明治大学と中央大学と法政大学に同じ生徒が合格すれば、学校の実績には3件として計上されます。複数学部への合格が含まれる場合もあります。
そのため、「MARCH83件だから83人が合格した」とは言えません。卒業生約230人の石橋高校でも、83件は実人数の割合ではなく、あくまで合格件数です。
一方で、延べ合格数にも意味はあります。合格先の大学群、年度ごとの増減、国公立や他の私立大学との組み合わせを見れば、その学校の受験指導や生徒の進路選択の傾向が分かります。
国公立大学の合格数も必ず見る
栃木県の公立進学校を比較すると、MARCHより国公立大学の合格数が多い学校が目立ちます。これは、地方の進学校では宇都宮大学、埼玉大学、茨城大学などの近県国公立を第一志望にする生徒が多いためです。
保護者にとっては、授業料や通学距離、下宿費用、地元での就職なども大学選びの大切な条件になります。MARCHの合格数が少ないからといって、その学校の進路指導が弱いとは限りません。
例えば宇都宮中央高校は、MARCH32件に対して国公立151件。宇都宮北高校も、MARCH16件に対して国公立118件です。学校全体の進学実績を見るなら、MARCHだけを切り取らず、国公立、日東駒専、推薦、専門学校なども含めた進路の全体像を確認する必要があります。
石橋高校からMARCHはどのくらい現実的か
今回の5校の中では、石橋高校のMARCH83件が目立ちます。国公立も125件、日東駒専も94件と、大学受験の合格実績が幅広く公表されています。
ただし、石橋高校は偏差値目安が他校より高めです。石橋高校に合格できる学力と、石橋高校の中でMARCHを狙える位置にいることは別の話です。
保護者が知りたいのは、「石橋高校に入れるか」だけでなく、「入学後にどのあたりの成績を取れば、MARCHや国公立が見えてくるか」です。学校説明会や進路指導の場では、合格者の学年順位の目安、現役と既卒の内訳、過去3年の推移も確認するとよいでしょう。
鹿沼・宇都宮北・真岡・宇都宮中央ではどう見るか
鹿沼高校はMARCH26件、国公立94件、日東駒専64件。真岡高校はMARCH32件、国公立104件、日東駒専70件でした。宇都宮中央高校はMARCH32件、国公立151件、日東駒専73件です。
宇都宮北高校はMARCH16件ですが、国公立118件、日東駒専100件という実績があります。MARCHの件数だけなら他校より少なく見えても、進路全体で見ると、国公立や日東駒専を含む幅広い選択肢に合格者を出していることが分かります。
この違いは、学校の授業進度、生徒の志望、受験科目、推薦入試の利用、地元志向などによって生まれます。数字を比較するときは、MARCHだけの多寡ではなく、同じ年度の進路全体を見てください。
偏差値だけでは高校の大学実績は読めない
高校の偏差値は、模試会社や高校情報サイトによって算出方法が違います。同じ高校でも数ポイントの差が出ることがあり、学校の公式資料に「高校偏差値」が掲載されているわけではありません。
さらに、大学合格実績は、卒業生数、現役・既卒の区分、延べ人数か実人数か、推薦合格を含むかなどで見え方が変わります。偏差値と合格実績を一つの数字だけで結びつけるのは危険です。
保護者が確認したい5つのポイント
- 合格者数が延べ人数か、実人数か
- 現役と既卒が分けて掲載されているか
- 過去3年程度で実績が安定しているか
- 国公立、日東駒専、推薦を含めた進路全体はどうか
- その高校の中で、どの位置にいれば志望大学が見えてくるか
特に最後の「高校内での位置」は重要です。中学校で上位だった生徒が、進学校では真ん中付近になることもあります。高校合格をゴールにせず、入学後にどのような学習を続けるかまで考えておく必要があります。
まとめ:高校偏差値だけでなく、校内順位と過去3年の実績を見る
栃木県の石橋・鹿沼・宇都宮北・真岡・宇都宮中央高校からMARCHは、十分に現実的な目標です。実際に各校から合格者が出ています。
ただし、MARCHは「その高校に入れば普通に受かる」大学群ではありません。合格数は延べ人数であり、合格した生徒は高校全体の一部です。高校の偏差値が近くても、学校内の学力分布や進路志望によって結果は変わります。
高校選びで見るべきなのは、偏差値だけではありません。高校内で自分がどの位置にいそうか、その位置からどの大学が狙えるのか、そして過去3年の進路実績がどう推移しているのか。
保護者としては、「この高校に入ればMARCHに行けるか」ではなく、「この高校でどの位置を目指し、どのような進路指導を受けられるか」と考えるのが、より現実的だと思います。
出典・参考資料
- 栃木県立石橋高等学校「大学入試結果」
- 栃木県立鹿沼高等学校「2025年度大学合格実績」
- 栃木県立宇都宮北高等学校「大学合格状況」
- 栃木県立真岡高等学校「進路情報」
- 栃木県立宇都宮中央高等学校「R7年度卒業生進路状況」
※偏差値は高校情報サイトなどの目安で、模試会社や年度によって差があります。合格実績は各校の公表資料をもとに整理しています。大学合格者数は延べ人数である場合があり、年度・現役既卒の区分・集計方法も学校ごとに異なります。数字は学校選びの参考としてご覧ください。